業務報酬基準の見直しについて

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業務報酬基準の見直しについて(後藤伸一:東京建築士会監事:業務報酬基準策定委員)

(1)平成21年国土交通省告示第15号の公布

構造計算書偽装問題を踏まえ、平成18年8月にとりまとめられた社会資本整備審議会答申において業務報酬基準(昭和54年建設省告示第1206号)の見直しが指摘され、平成19年には見直しの方向が定められて業務量等の実態調査が実施され、さらに平成20年中の検討作業を経て本年1月7日に新告示「国土交通省告示第15号」(建築士法第25条の規定に基づき、建築士事務所の開設者がその業務に関して請求することのできる報酬の基準)が定められた。新告示の公布に伴い30年にわたり建築士が行う設計や監理業務等の報酬算定基準となっていた旧告示1206号は廃止された。ここでは新告示についてその概要をみる。

業務報酬の算定方法

(図1:新告示の業務報酬基準の構成)

(2)新告示の概要

新告示による業務報酬基準の構成、概要については図1を参照されたい。新しい業務報酬基準は旧告示と同様に設計等の業務につき、第一~第三号の実費加算方式(業務経費、技術料等経費及び消費税を合算)、第四号の略算方法による算定で構成されている。実費加算方式は業務報酬算定方法の標準とされているものであり、この構成については旧告示と変わっていない。略算方法に関して別添三の略算表については以下の点で旧告示と大きく変わっている。

① 建築物の類型が4類型から15類型へ詳細化された。(各類型、用途等は別添二による)
② 標準業務量について、総合、構造、設備の専門分野別に表示された。(別表第1~第15)
③ 標準業務量について、工事費ベースから床面積(㎡)ベース表示に変わった。
④ 標準業務量について、人・日から人・時間へ単位が変更された。

次に業務経費のうち、直接人件費、直接経費、間接経費の算定においては、略算方法を用いることができる点は従来通りであるが、この略算方法は「標準的な業務を実施した場合に必要となる標準的な業務量」を用いて報酬を算定する方法である。すなわち告示で言う略算方法で算出できる標準業務量(業務人×時間数)とは、あくまで標準業務内容に対応した業務量であることを銘記されたい。従って特別経費や技術料等経費、あるいは追加的業務などそもそも標準業務内容に含まれない業務については略算方法を用いることは出来ないので各々個別に算定することになる。

この標準業務は、新告示では「設計又は工事監理に必要な情報が提示されている場合に、一般的な設計受託契約又は工事監理受託契約に基づいて、その債務を履行するために行う業務」とされており、「設計に関する標準業務」と「工事監理に関する標準業務及びその他の標準業務」に区分され、別添一に各業務の項目と内容、さらに設計に関しては基本、実施各段階の成果図書(一般の建築物と戸建木造住宅)が工種ごとに一覧表示されている。  建築士が行う設計や監理の業務は本来個別性が強く契約自由の原則もあるので、実際の契約は多様性に富むが、新告示で示された標準業務内容とこれに対応する標準業務量(アンケート調査による国内約2600の対象事業所の業務実態サンプルから統計処理をして割り出されたもの)は、基本的にはわが国の設計監理業務のスタンダードとなるべきもの言ってよい。また上記の如く標準業務に含まれない業務を付随して行う場合は、その業務量をこの標準業務量に付加して算定する必要があり、新告示別添四で示された「設計に関する標準業務に付随する標準外の業務」と合わせて、付加された業務量につき建築主と(標準業務報酬への)相応の報酬加算について協議を進めることになる。なお新告示で示されたこの標準外の業務は標準業務に付随して行われる業務を示した限定的なものであり、実務のレベルではこれ以外にも中途での大幅な設計変更や調査・企画、鑑定など多くの追加業務があると考えられるので、標準外の業務の見極めについては適宜判断をし、建築主の充分な理解を得る必要がある。

新告示による標準業務内容は「四会連合協定設計監理業務委託契約書式」をベースに旧告示に比して段階ごとにより明瞭に示されており、特に設計と監理については、「工事施工段階で設計者が行うことに合理性がある実施設計に関する標準業務」が明示されるなど、業務の発注形態が設計監理一貫であれ分離であれ、業務内容を峻別して新たに整理しているので、より適切な建築士の業務構築に向けてぜひ一読されたい。

略算方法における業務の難易度による補正(別添二の注、別添三の4~5項)については特に構造と設備について難易度補正の標準の係数が具体的に示された。但しこれはあくまで標準的な倍数であり個々の業務内容に応じて調整する値とされる

(3)新告示による報酬基準活用のイメージ

新告示の報酬基準の活用については、受託側の建築士のみならず委託側の建築主に対しても充分な認知、理解、浸透をはかって行くことが今後の大きな課題となろう。

ちなみに新告示の別表第14類戸建住宅(詳細設計を必要とするもの)の略算表(図2)による標準業務量は150㎡の住宅を設計監理する場合であれば総合(意匠と統括)、構造、設備合わせて1054時間、概ね130人・日となるので現時点における報酬額の概算値は税別でも700万円を超えることになる。(直接人件費の2.1倍で算定)新告示を活用すれば会員諸氏は150㎡の戸建住宅の設計監理の標準業務報酬として十分この金額を請求できることになるのだが。     (以上)

図2

図2:別表第14 戸建住宅 (詳細設計を必要とするもの)の標準業務量:単位人・時間)

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